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てっしゅう
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「新シルバーからの恋」 第六章 お見合い

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ちょっと考えて・・・
「お見合パーティーで知り合ったのよ。お話ししていたら偶然同じ中学だったの。それがきっかけになってお付き合い始まったのよ。縁よね・・・優しい人よ、それに真面目。ちょっと物足らないって感じだけど、そのぐらいで丁度いいの」
「そうなの。仕事は何やっているんだっけ?」
「保険よ。そうそう悦子も同じ保険の仕事よ」
「さっき銀行って言ってたけど?」
「保険の窓口勤務なの。うちの会社がバックアップしているし。何かと最近会っているのよ」
「へえ〜そうなの。私たちって保険いるのかなあ・・・60になっても」
「入ってないの?じゃあ・・・悦子の銀行へ訪ねていったら?話しておくから」
「うん、そうする」

伸子は早速月曜日に悦子のいる窓口に出かけていった。

「いらっしゃいませ!」いっせいに元気の良い声がかけられた。さすが新店である。悦子がいる窓口を探したが見当たらなかったのできょろきょろしていると案内係の女性に尋ねられた。

「お客様、いかがなされましたか?お探しのサービスをご案内させて頂きますが、よろしかったでしょうか?」
「はい、保険の窓口に知り合いがいると聞きましたので伺ったんですけど・・・平川といいますが」
「かしこまりました。ご案内させて頂きます」行員はそう言って、窓口まで伸子を連れて行き、「直ぐに呼んで参りますので、その間こちらの中山がお相手させて頂きますのでお待ち下さい」そう告げて、奥に入っていった。

「お客様、本日窓口担当させて頂いております中山です。平川は直ぐに参りますので、よろしかったらご用件お伺いさせて頂きます」美雪はそう伸子に話した。

「中山さん・・・ひょっとして美雪さんですか?」
「はい、中山美雪ですが、ご存知でらっしゃいますか?」
「主人は剛司です」
「そうでしたか・・・中山さんの奥様・・・」悦子が来た。
「伸子!来てくれたの。ありがとう・・・美雪さんと話したのね。驚いたでしょ?一緒に仕事しているのよ。今日は保険の話よね?」
「うん、そのつもり。驚いたわ・・・美雪さんとこんな形で会うなんて。剛司から色々聞いていたけどイメージが違ったわ」
「その話は終わってからにしましょうよ。まずは保険の説明させて」

悦子はパンフレットを見せながら商品の説明をした。一通り終えたところで、「あなたに任せるわ。お葬式の費用とお墓代ぐらいが欲しいから・・・500ぐらいね」
「ありがとう。では契約書持って伺うから日にち決めて」
「いつでもいいのよ。明日来る?」
「そうさせてもらうわ。美雪さんも同行するかも知れないけど、構わない?」
「私は平気・・・剛司は仕事だから」
「じゃあ、11時ごろに行くわ。今日はありがとうね」

また新しい契約が取れた。同級生とはいえ結婚する数と保険契約の数は比例している。幸せを感じられる仕事だと誇りに思う悦子だった。

通常銀行での窓口で申し込みされた保険契約は大阪生命の担当者に任せて契約書を取り交わすのだが、知り合いという事で、支店長に許可を貰って美雪と同行させて貰える事になった。

「美雪さんそろそろ時間よ。行きましょうか」悦子は伸子が住んでいる千林駅まで電車で行くつもりだった。
「平川さん、お待たせしました。参りましょうか」仕事では悦子のことを平川さんと呼んでいる。自分の得意先に当たるから、馴れ馴れしく名前で呼ぶ事は控えていた。

京阪電鉄京橋駅から各駅電車で4つ目だ。10分ほどで千林駅に着いた。大阪市の東の隅、旭区になる。長い商店街の出口は一号線で淀川中学はその先に見える。小学校の頃悦子は良くこの商店街に遊びに来た。その話を美雪にすると、自分も良く遊びに来たと思い出を話し始めた。

「親が洋服を買いにほら昔長崎屋があったでしょ?連れて行ってもらったわ。商店街もいろんな店があってぶらぶらしていたし、今は変わってしまいましたね」
「そうね、私はいつも親と来ると主婦の店の裏側にあった美乃幸に寄って食事したわ。知っている?」
「行ったことありますよ。何でもあるレストランでしたよね」
「そう、プリンが好きだったから、最後はいつもプリンアラモードだったわ」
「私はアイスクリームだった」
「なんだか同窓会のあとだから余計にそう感じるのかも知れないけど、つい昨日のことのように思うの」
「私も!同感です。でも今年の誕生日で58になる・・・現実は厳しいんですよね」
「私は還暦よ!あ〜世間じゃおばあちゃんの仲間入りになる年だからね」
「今は違うと思いますよ。エステに通われてから若くなってきましたよ姉さんは・・・ご主人にそう言われません?」
「うん、顔は若返ったねって言われた。どういう意味なのでしょうね」
「まあ・・・でもそう言って頂ける事は有難いですよ。世の男性なんて無関心ですから」
「そうね、そう思っておくわ・・・着いたわ、ここよ」

ピンポーン!インターホンを押した。

「はい、お待ち下さい」伸子はそう返事をして鍵を開けて玄関扉を開いた。
「二人お揃いなのね・・・さあ、上がって」
「お邪魔します。一応仕事だからね言う事言わないと・・・」
「この度はご契約ありがとうございました。では、お邪魔させて戴きます」

二人はそう言って家に上がり、居間のソファーに座った。

「先に契約済ませましょうか?」伸子は悦子に向かってそう言った。
「いいの?じゃあそうしましょう。ここにサインして・・・実印を押して欲しいの。告知だけだから何もなかったら全部いいえ、にチェックして終わりだから」
「解かった・・・こうね?印鑑押すわ」

あっという間に契約は終了した。初年度分の保険料を現金で受け取って領収書を手渡してすべて終了した。

コーヒーを煎れながら伸子は悦子に聞いた。
「答えにくかったら言わなくて構わないけど、徹くんと悦子って付き合っていたんじゃなかったの?」
「その話しね・・・剛司くんから聞いたの?」
「そうじゃないの。同窓会の時にみんな噂していたから・・・剛司って知ってたの?」
「そうだったの!聞こえなかったわ。ちょっと前に偶然剛司くんに会ったの。徹くんのことで言われたから、あなたに話したんだって思っただけ」
「あの人ああ見えて口が堅かったりするのよね。特に男同士の友情って奴?守っているから始末が悪い」
「あら、もうそんな事?結婚したばかりなのに」
「再婚ね・・・悪口言っているんじゃないのよ。妙に内緒にする事があるっていう話なだけ・・・女って何でも知りたがるでしょ?そこが不満って言ったら贅沢なのかしら」
「そうね、何でも話して欲しいのよね、自分だけには。そのくせ人に話してしまう癖もあるのよね・・・おしゃべりだから」

皆が徹とのことをそんなふうに思っていたなんて知らなかった。悦子はもう終わったことだから、気にしないが悪いことは出来ないなあと思った。

「美雪さん、ごめんなさいね。私変な事お話ししてしまって・・・聞かなかったことにして頂戴」
「構いませんのよ。存じておりますから」
「悦子、話していたの?」
「うん、それがね・・・美雪話していいかしら?」
「終わったことですから、でも・・・詳しくは嫌です」