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ぼくのウルフマン

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 少しずつ見てくれる方も増えてきて「ウルフマンとアレクスは結婚するのですか。アレに花嫁衣装を着せてください」とか「コメディバージョンが大好きなのでまたお願いします」だとか「現在の高校を舞台にして描いてください」などの注文コメントも入ったりしてぼくもそれを受注して頑張ったりと、とても充実しているのである。常連のお客様もあって冗談を飛ばせるほど仲良くなり学校友達より充実しているという状態だ。
 ぼくはリアル世界と妄想世界とネット世界に住んでいて、リアルはぼくにとって最も貧弱な場所であり、妄想とネットはぼくの生活と精神のほぼ九割を占めている、と思っている。時には心ない人の誹謗中傷でもう止めようと泣いてしまうこともあるのだけれど。そんな時でも励ましてくれる人もいてウルフマンとアレクス、そしてエレノアは何度も復活していくのだ。
 
 次の日、ぼくは早速仕上げたウルフマンを学校に持っていったが内心かなり戸惑っていた。ぼく自身はウルフマンにウルフマンを頼まれた、とばかり有頂天になっているが彼の方はほんの社交辞令で今日になったらもう何とも思っていないのかもしれない。もし渡して無視されたりしたらかなりへこみそうだ。大感激はしてくれなくてもせめて嬉しそうな顔をしてくれたらそれだけでいいのだが。
かなり迷いあぐね嫌な事は早めに済ましちまおう、という意気込みで奥上にウルフマンの絵を渡すと彼は思った以上に喜んでみせた。
「おお、すげえ。やっぱ色がつくと本物って感じになるな。井伏、これ宝物にすっからな」
ぼくはいやあそれほどでも、とだけ小さな声で言うと彼の前から逃げ出した。大好きなのにこれじゃしょうがないな。でもあの絵をそんなに気に入るなんて。ぼくも変わり者だけどあいつも相当変わり者かも。
 
 ぼくの夢想は舞台が近い物になる。
ウルフマンはぼくの高校にいる。姿形はそのまま狼人間だけど別に誰も何の疑問も持っていない。普通に生徒として存在している。狼の姿に学生服を着ている。
 ただし絵柄は前の十八世紀ヨーロッパと違い可愛い感じにする。背も少し低くなる。
ウルフマンはぼくとクラスメイトでもある。ここではぼくはアレクスではなく井伏として登場するが、ブログ上では名前を変えている。放課後の出来事。可愛い狼顔でウルフがぼくに手を振る。
「井伏、ちょっといいか?」
「うん、なに?」
「部活で使うんだけど倉庫から運ぶの手伝ってくんない?」
「いいよ?」なんで部外者のぼくに言うのか変だよね。ぼくも陸上部っていう設定にしとくか。
二人は体育用具倉庫に行く。
「ウルフー。何持ってくの?」
「こっちに来て」
ぼくはウルフに導かれ奥の方へ進む。
「暗いなあ。どれさ?あっ」
ウルフ、急にぼくの手を引っ張って跳び箱の隙間に連れ込む。
「ウ、ウルフ?」
「しっ、黙って」
ぼくはウルフの大きな体の下敷きになって彼からキスされてしまう。彼の大きな毛深い手がぼくのへなちょこな体を撫で回しやがてズボンを下ろし始める。
「あ、やっ、何すんだよ。止めてっ」ぼくは彼を撥ね退けようとするが大きく重い体はびくともしない。ぼくはあっという間にズボンとパンツを脱がされ下半身は靴下を履いているだけになってしまった。ウルフの手がぼくのペニスを弄び始める。今まで味わったことのない刺激にぼくのペニスは大きくなってしまう。
「ウ、ウル」ぼくはもう泣きそうだ。
「井伏。ずっと好きだったんだ。いいだろ?」
「でも。こんなの。恥ずかしいよ」もう少し
抵抗した方がいいのだろうけど。ぼく自身彼が最初から好きなんであっという間の展開だ。
「恥ずかしくない。凄く可愛い、井伏」
「だってぼくだけ脱がされて、ウルフに遊ばれてる」
彼の手がますますぼくのペニスをしこり続けるのでぼくは気が遠くなりそうだ。
「じゃ、俺も脱いじゃうからさ」
ウルフが制服のズボンを脱ぐとぎょっとするようなでかいのが現れた。
「ウルフのって大きい」
「井伏に入れたい。いい?」
ええっ。ぼくは自分で想像しながらどきどきしてしまう。
「そんな大きいの無理だよ。初めてなのに」
「じゃ。井伏も触ってくれるか?」
赤くなりながらぼくはウルフの巨大なものをしこしこする。自分のをするのと全然感触が違う。太く固くてもうぬらぬらしてる気がする。ウルフもぼくの可愛いのを(ってじぶんで言う奴)しこしこしている。ウルフの手が気持ちよくてたまんない。
「あ、ウルフ、出ちゃいそう」
「俺ももう駄目」
二人で同時に思い切り飛ばしてしまった。ぼくの顔にウルフの精液が白くかかっている。ぼくは恍惚とした顔で横たわっている。
なんて本当にあるのかな。未経験なぼくだ。
 
 今まで没交渉だった奥上達朗とほんの少し近づけたし、ブログやウェブ漫画更新もはかどるし他の人の目からはどうか判らないが自分的には好調のぼくの日常を乱す一枚の紙切れがあった。
 ある朝、靴箱を見たら一枚の紙切れが無造作に突っ込まれている。何だい、と思って見ると「警告。陸上部の奥上達朗と河嶋祐司は〈ホモ〉だ。触るな。危険!!」なんじゃこりゃあ。一体誰だ。こんな卑劣な事書いた奴は。許せない。警告って意味も判らんし。
 しかも選りに選って奥上を出してくるなよお。彼がゲイだって言うのはぼく的にはむしろ万歳だけど、河嶋っていうのと関係してるだなんて。河嶋って誰だ。
ぼくは陸上部の様子を思い起こした。そうか。同学年で三組の奴だ。確かに奥上と良く一緒に走ってたっけ。奥上程じゃないけどすらりと背の高い細身の奴でイケメンだった。ええい。腹が立つ。ぼくはチラシを滅茶苦茶に丸めるとゴミ箱に思い切り放り込んだ。後ろで同じように靴箱の紙を見て笑い声や罵り声がしていた。許さんぞ、犯人。
 
 ぼくはクラスで虐めはないが孤立している、のではないかと思う。自分ではさほど気にしてはいない。そんな中でちょっと話をしたりする子が一人いる。隣の席の女子、丸山歩美だ。背はぼくとほぼ同じくらいで黒縁眼鏡をしてる。長い髪を二つにさらりと分けていて結構大人っぽい美人顔だ。ぼくは誰に対しても引っ込み思案で人見知りだから彼女にも積極的に話しかけたわけではないが、彼女が休憩中読んでる本だとか、持ってる小物のあれこれでどこか同じ世界の住人らしきものを感じた。まったく同一のはずはないが、隣人らしき匂いがする。そんなんで珍しくもぼくは彼女に対してはちょぼちょぼと会話をしたりしていたのだ。
だが、ある日、ぼくはとんでもない事態に陥ったのだった。
作品名:ぼくのウルフマン 作家名:がお