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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・録】ムカムカパラダイス

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「緊那羅は弱い」
鳥倶婆迦が言った
「ソレが緊那羅はイヤだったんだよ弱かったら京助も悠助も守れないだから緊那羅は帰ったんだ」
鳥倶婆迦が一通り言い終わると3馬鹿がほぼ同時に石段を見上げた
「でも…おいちゃん思うんだ…たしかに緊那羅は力は弱いかもしれないけど緊那羅にしかできないことがあるよねって。緊那羅だけにしかできないこと…おいちゃんだけにしかできないこときっとあるよねって」
今度は3馬鹿が揃って鳥倶婆迦を見た
「…いいこと言うじゃんばか」
坂田が言った
「鳥倶婆迦だッ!」
キーキーと鳥倶婆迦が喚く
「ゼンにしかできないこともあるんだやな?」
「ゴにもあるんだやな?」
鳥倶婆迦の言葉を聞いていたコマイヌが半分ハモりながら聞いてきた
「みんなにあるんじゃないかと俺は思う」
中島が言った
「解決!!」
坂田がパンッと手を叩いた
「栄野家に渦巻くこのムカムカパラダイスな空気を排除できるのは緊那羅だけだと思います」
そして人差し指を立てて言った
「俺等にはたぶん無理だろな」
中島も同意した
「そう考えるとラムちゃんの力ってすげくね?」
南が言う
「おいちゃんもそう思う」
鳥倶婆迦がずり落ちてきたのか帽子を直しながら南の言葉に頷いた
「おいちゃんは緊那羅好きだよ」
鳥倶婆迦が言った
「京助もお前等も好きだよ」
「…ど…ドウモ」
3馬鹿とコマイヌに向けて鳥倶婆迦が言うと中島が何故か照れながらお礼らしき言葉を返した
「だからおいちゃんはみんなに笑っていて欲しいんだ」
鳥倶婆迦が言う
「だから…」
そしてキュっと帽子を掴んでお面の顔を上げた
「おいちゃんが緊那羅を連れて帰ってくる」

足に巻かれた包帯をただ黙って見ていた京助がずるずると足を延ばして最終的に仰向けに寝転がった
「気にしすぎなんだよ…」
ボソッと言うと鼻から息を出した
「ばかやろ」
「貴方に言われたら緊那羅も終わりですね」
自分しかいないと思って吐き出した言葉に突込みが入ったことに京助が驚き体を起こした
「け…」
「いつも以上に阿呆な顔してますよ京助」
乾闥婆がにっこり笑いながらもいつものように毒舌で言った
「おま…なんで…」
「緊那羅の代わりに来たのか…と思っているなら外れです」
「あ…さいですか…;」
京助が聞こうとしたことに対し京助が聞く前に乾闥婆が答えた
「…き」
「緊那羅は元気ですよ表向きは」
「あ…そですか;」
またも乾闥婆が京助が聞こうとするより先に答えた
「…京助」
乾闥婆が小さく京助を呼んだ
「なん…」
返事を返そうとした京助の頬に薄水色のピョン毛が触れた