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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・録】ムカムカパラダイス

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「京助が変?」
電話の子機を持ったまま中島がソファに腰掛けた
『そーヒマだから遊ばね? って電話したらさー不機嫌極まりない声で断られたんだよねぇ』
困ったようなでもどことなく楽しそうな南の声が受話器の向こうから聞こえた
「お前またふざけてからかったんじゃねーの?;」
南のいつもの行動から予測したのか中島が苦笑いで聞いた
『んな人がいつもギャグ路線行ってるような言い方すんなよなー…; でも…マジで変だぞ京助』
前半は笑って言っていた南の声が後半少しシリアスになった
「…お前がそういうなら変なんだろな」
中島がソファの背もたれから体を起こして言う
『どういう意味だそりゃ;』
南が突っ込む
「お前って何かしろ細かいこと気づくからさー…坂田には?」
『…まだ言ってない』
中島が言うと南が少し黙った後言った
「そか…とりあえず京助ン家で集合しねぇ? お前坂田つれてこいや」
反動を軽くつけて立ち上がった中島が尻を掻きながら子機の充電器の所まで歩く
『押しかけて大丈夫かね?』
南が聞く
「原因究明だろ?」
中島が言う
『事件は学校でおきているんじゃない!! 栄野家で起きているんだ! 的ですか』
南が言った
「まぁそんなトコ? 滑る大捜査線とでも仮につけとけ」
『ヒャー!! マイッタネ! 了解了解…じゃ石段の下で逢引ね柚汰さん』
南が笑いながら言うと電話が切れた
「…なんかあったな」
プープー…という電子音が出る子機を見つめて中島が呟いた

「土曜日に 起こされ何事 京助さん」
いつもは結っている髪をざんばらに解いた頭のまま坂田が石段の上を鳥居を見上げた
「お前よく即席で俳句できるよなぁ;」
中島が言う
「ソレより今は京助でしょ; …ラムちゃんに聞けばわかるかな」
南が石段に足をかけた
「お? コマイヌコンビじゃん」
同じく石段に足をかけた坂田が石段を上から降りてくる二匹を見て言った
「おーぃコマイヌー!!」
中島が二匹を呼ぶと気づいたのか3馬鹿に向かって二匹が石段を駆け下りてきた
「3馬鹿なんだやな」
コマが言う
「そうなんだやなん~…てか京助いる?」
南が二匹の独特の口調を真似して聞いた
「…いるんだやな…でも…」
「でも?」
答えたイヌに坂田が突っ込む
「凄い機嫌悪いんだやな」
「やっぱ?」
コマが言うと中島も言う
「原因は何なワケ?」
南がしゃがんでコマイヌと目線を合わせて聞いた
「…京助だけじゃないんだやな…家全部が不機嫌なんだやな」
しゅんと尻尾を下げてイヌが言う
「家…ってハルミさんも悠も?」
坂田が聞くとコマイヌが揃って頷いた
「親子喧嘩?」
南が聞くと今度は二匹揃って首を振った
「違うんだやな…緊那羅がいなくなったんだやな」
「へー…緊那羅がねぇ…いなく…」
イヌが言った言葉を何気なく聞いて次に移ろうとした3馬鹿が数秒間止まった
「…緊那羅【天】に帰ったんだやな」
コマが石段を見上げて言った
コマイヌの話を聞いた3馬鹿が顔を見合わせると揃って頷いた
「そかそか…原因は解明したな」
坂田が納豆ゴムで髪の毛を束ねながら言った

【解説しよう。「納豆ゴム」とは俗に言う布などでコーティングされていないただのゴムのことをいうのである】

「で? ラムちゃんはいつかえってくるのさ?」
南がコマイヌに聞く
「知らないんだやな」
「…つかえねぇ;」
イヌが言うと南が溜息をついた
「山口さん家のツトムくんよりタチが悪いかもよ?;」
南が中島と坂田を振り向いて言う
「えーいのさん家の京助くん~このごろ少し変よ~ってかぁ? …こりゃ…どうしますか?;」
中島がワンフレーズを歌い終わった後聞く
「どうするっても…」
坂田が顎に手を添えて考え込む
「でもなんだって急にラムちゃん帰っちゃったんだろね」
南が言った
「あんだけ京助を守る守る言ってたのに…愛想尽きたとか?」
「違うよ」
南の言葉に石段の方から突込みが入った
「ばかなんだやな」
「鳥倶婆迦だッ!! …守りたいから緊那羅は【天】に戻ったんだ」
コマの言葉を怒鳴り半分で訂正したあと鳥倶婆迦が言った
「守りたいから帰ったって…どゆこった?」
中島が聞く