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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・録】ムカムカパラダイス

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「京助!! アンタまた靴下投げ出してッ!!」
土曜日母ハルミの声が栄野家に響いた
「今片付けるってんだろッ!!」
それに負けじと劣らない京助の声も響く
「今今ってアンタの今はいつなのッ1!」
「今ったら今しかねーじゃんッ! 俺だって一人しかいねぇしやってることあんだからそんなすぐできるわけねーじゃんッ!!」
「脱いですぐ洗濯機に入れておけば一回で事がすむでしょ!? まったく…」
母ハルミと京助の声が交互に響く
「…今日コレで6回目だね」
鳥倶婆迦がボソッと言う
「緊那羅いなくなってからまだ一日もたってないのに」
そう言いながら鳥倶婆迦がチラッと横を見ると慧喜の膝の上に座っている悠助がつまらなそうな顔をしている
「なんだか…イヤなんだやな」
でべろ~っとうつ伏せに伸びたコマが言った
「自分の家なのに居心地わるいんだやな」
イヌも同じく言う
「なんでなんだろう…俺もそう」
慧喜が悠助の頭に頬ずりをして言う
「おいちゃんの計算では緊那羅がいないからだよ」
そんな面々に鳥倶婆迦が言った
「だって前は緊那羅がいなかったんだやな」
起き上がったイヌが言う
「そうなんだやなでもこんなに居心地悪くなったことは…」
コマが言うとイヌが頷く
「まったく…ホラホラコマもイヌも! だらだらしないの!!」
茶の間に入ってくるなり母ハルミがコマとイヌに向かって言った
「ハルミママ…」
そんな母ハルミを見て悠助が眉を下げた
「こんな嫌な空気…主がいなくなったとき以来なんだやな…」
コマがボソッと呟いた

「面白いことになるかも」
栄之神社の鳥居の上クスリと笑みを浮かべ腰掛けているのは白い布を纏った誰か
伸ばした黒い腕には黒い玉で作られた数珠の様な腕飾り
「待ってるだけじゃ…いつになるかわからないし…また少し突付いてもいいかもね」
口元に笑みを浮かべたその誰かが耳から外したのはオレンジ色のフサ飾りがついた黒い耳飾
「ね…? 京助…悠助」
そしてその耳飾を鳥居の下に落とした

バチッ!!!

「な…」
落とした耳飾が何かにはじかれ石段をカツンカツンと音を立てながら落ちていく
「…結界…へぇ…あんな風になってまで守るんだね」
感心したような口調で言うとフワリと体を浮かせ転がり落ちた玉の元に着地すると玉を拾い上げる
「竜」
呟いたその言葉には憎しみ嬉しさその他イロイロな感情が込められて聞こえた
「京助!!」
母ハルミの声が再び響いた
「なんだよッ!!」
ソレに対してまた京助の怒鳴り声が返される
「でも…今回は手を出さなくてもいかもね」
母ハルミと京助の親子口げんかを聞いたその人物が耳飾を耳に付け直して呟く
「さぁ…どうなるかな?」
楽しそうに言うとすぅっとその人物は姿を消した