小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第九回・録】ムカムカパラダイス

INDEX|4ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

「…きっついね」
鳥倶婆迦がボソッと廊下を見ながら言った
「でも乾闥婆は正しいこと言ってるんだよね…だって緊那羅は…」
「…っわかってるっちゃ!!」
慧喜が言いかけると緊那羅が声を上げた
「きん…なら?」
俯いたままの緊那羅が大きな声を上げたのに驚いた一同が緊那羅を見た
「わかってるっちゃ…私は…私は京助と悠助を守らないといけないってことは…わかってる…」
段々と声を小さくしながら緊那羅が言った
「わかって…るんだっちゃ…」
ゆっくりと立ち上がった緊那羅の次の行動を一同が待っている
「…ごめんだっちゃッ」
そう言って緊那羅が足早に部屋を出ていた
「ごめんだっちゃって…言われてもナァ; 俺だって悪いんだし…」
緊那羅が出て行った後京助が言った
「緊那羅なんだかムカムカしてるみたいだった」
鳥倶婆迦が言う
「緊ちゃん…」
しゃっくり地獄から開放された悠助が呟いた
「ストレスでもまぁた溜めてんだろなぁ…」
京助が天井を見上げて言った

自室の戸棚を開けて緊那羅が小さな箱を取り出しそして部屋のほぼ真ん中に腰を下ろした
暗くなった室内に街灯の明かりがほんのり差し込んで緊那羅の横顔を照らす
「…【竜】…」
小さな箱を両手で包み緊那羅が呟く
「私は貴方の意志を継げるんだっちゃ…?」
小さな箱に額をつけると緊那羅の右手首の腕輪がコツンと音を立てて箱にぶつかった
その腕輪を緊那羅が黙って見つめる
腕輪についているのはほんのり緑がかった宝珠と透明な宝珠が二つ
「…守る力…」
腕輪を撫でた緊那羅がゆっくりと目を閉じた

「お…」
「あ…」
緊那羅が部屋を出ると京助と鳥倶婆迦が部屋の前に立っていた
「歩いて…大丈夫なんだっちゃ?」
京助の足を見た緊那羅が京助に聞く
「走ったりしなきゃ大丈夫だって乾闥婆も言ってただろ」
京助も自分の足を見て言った
「おいちゃんの計算じゃあと4日もすれば走れるようになるよ」
鳥倶婆迦が言う
「それより腹減ったんだよな」
きゅるぅ~っと京助の腹の虫が鳴いた
「おいちゃんも腹減った」
鳥倶婆迦が京助の腹を見てそして緊那羅を見ていった
「あ…うん…」
緊那羅が返事をすると京助と鳥倶婆迦が歩き出した
「…京助」
緊那羅が京助を呼ぶと鳥倶婆迦も一緒になって緊那羅を振り返った
「なんだ?」
京助が聞く
「…私…【天】に…戻ろうと思うっちゃ」
緊那羅が言った
「いんじゃね?」
京助がさらっと言う
「てか今日行ったばっかりじゃん? 忘れ物でもしてきたのか?」
ヘッと口の端を上げて言う京助を緊那羅が見る
「…そうじゃなくて…その…だから…」
緊那羅が京助の言葉を否定して何かを言おうとする
「まぁ後から行ってこいよ今はとにかくハラヘリだし」
京助が歩きながら言った
「母さんとかには俺が言っておくからさチャッチャと行ってこいや」
足をひょこひょこさせて歩く京助の横を鳥倶婆迦が緊那羅の方を気にしながらも歩く
「…緊那羅?」
一向に足を出そうとしない緊那羅に鳥倶婆迦が声をかけた
「そう…するっちゃ」
いかにも今即席で無理して創りましたという笑顔で緊那羅が言いそして小走りで京助と鳥倶婆迦の後ろまで来ると何事もなかったかのように歩き出す
「手貸すっちゃ?」
緊那羅が京助に聞く
「いいっちゃよー」
京助が笑いながら返すと緊那羅が苦笑いを返した
「…緊那羅…」
鳥倶婆迦が緊那羅のその苦笑いを見て呟いた