小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【第九回・録】ムカムカパラダイス

INDEX|15ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 

緑の布が窓にかかりソレが風か何かでふわっと持ち上がった
「何イライラしてんよ」
声をかけられ振り向いた緊那羅の目に入ったのは戸口に腕をかけてこちらを見ている阿修羅
「別にイライラなんてしてないっちゃ」
足早に阿修羅の前を横切ると緊那羅が椅子に腰掛けた
「自分の部屋なのに他人の部屋にいるみたいやよ?」
阿修羅が部屋に入ってきて緊那羅の部屋だというその部屋を見渡した
「…そんなこと…ないっちゃ」
緊那羅も部屋の中を見渡して言う
「お前さんがコッチきてマゴッチョは喜んでるみたいだけどな」
阿修羅が言った
「…そんなんで本当いいのかぃ」
俯いたままの緊那羅に阿修羅が聞いた
「私は…京助と悠助を守らないといけないんだっちゃ…だから私は強くならないといけないんだっちゃ」
俯いたまま緊那羅が言う
「だからってきて早々こんな調子じゃァな」
阿修羅が緊那羅の頭に手を置いた
「頑張るってのと無理するってんは似てても違うんやよ?」
「私は別に無理なんか…」
「してるだろが」
トントン拍子の会話が阿修羅で始まり阿修羅で終わった
「気になってる顔しとんもの」
阿修羅が言う
「別に私は洗濯してこなかったこととか牛乳の賞味期限とか京助の…あ…し…」
顔を上げて実は気になっているっぽい事をあげていっていた緊那羅が京助の足の怪我を思い出して言葉を止めた
「…お前はヨシコに比べて自由なんやよ緊那羅」
再び俯いた緊那羅に阿修羅が言う
「…私は…」
膝に置かれた緊那羅の手がぎゅっと握られた
「私はどうしていいかわからないんだっちゃ…強くなるために帰ってきたのに…こっちが本当に帰ってくるべきところなのに…あっちに…京助の家に帰りたい…んだっちゃ」
途切れ途切れに緊那羅が言うと阿修羅がふっと笑った
「緊那羅」
阿修羅が名前を呼ぶと緊那羅が顔を上げた
「力ってのは目に見えるもんだけじゃなかってさ…イロイロ力にもあるんきに」
阿修羅が言った
「お前だけの力…たぶん気づいていないのはお前だけだとおもうんよ」
阿修羅が言うと緊那羅がきょとんとした顔をした
「私だけの…力…?」
緊那羅が自分の腕にある腕輪を見た
「緊那羅の力は凄いとおいちゃんは思う」
「そうそう緊那羅の…」
はたと阿修羅と緊那羅が止まった
「緊那羅がいなくなったってだけでアッチ凄いことになってるんだよ」
コツコツと足音をさせてココで聞こえてはいけない声が聞こえた
「う…」
同時に振り向いた阿修羅と緊那羅が目を大きくさせて口を開いた
「鳥倶婆迦-------------------------!!!?;」
そして揃ってその名前を叫んだ