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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・録】ムカムカパラダイス

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「すっげぇー…」
坂田が本気で驚いているという声を上げた
「ココが【天】だかいうトコ?」
南が乾闥婆を見て聞いた
「そうです」
乾闥婆が答えた
「ぶちゃけ聞くけどココってやっぱ【天】っていうくらいだから空の上なわけ?」
中島が聞く
「そういうわかではありません…どこにあるかは誰もが知っていてどこにあるのかは誰も知らない…僕もそう聞きました」
乾闥婆が言う
「まっくら森みたいだねぇ…まくらも~り~はぁ~」
南が歌いながら足を踏み出した
扉をくぐった前に見えたのは白と赤の門
その向こうには街並みが見えそしてその更に向こうには大きな建物が霞んで見えていた
「アソコまで行きます」
乾闥婆がその巨大な建物を指差した
「遠ッ!!;」
坂田が言う
「貴方達がいるから正道を通れないんです」
乾闥婆がにっこりと笑顔で (少しドスの聞いた声で)言った
「正道を通れば扉を出ればすぐ宮だったんですけど」
乾闥婆の言葉がサクサクと3馬鹿と京助とゴにまるで生け花の花のごとく突き刺さっていく
「いいですか? 決して僕から離れないでください」
乾闥婆が念を押して強く言うと3馬鹿と京助そしてゴが頷いた

「ばか…お前…;」
阿修羅が口をパクパクさせてやっとのことで一言言葉を出した
「鳥倶婆迦だッ!!」
そんな阿修羅に鳥倶婆迦がキーキー言う
「そんなんどうでもいいんわ!; 【空】のお前がココに来たことバレたらエッライことなんぜよ!!?;」
阿修羅が怒鳴った
「よく…宮司に引っかからなかったっちゃね…【空】の血に過敏に反応するっちゃのに」
緊那羅が言うと鳥倶婆迦が止まった
「いや、そりゃ…鳥倶婆迦の得意な計算ででろやな?」
そして途端慌てだした阿修羅
「…おいちゃんは特別だから」
鳥倶婆迦がクイッと帽子を直した
「…?」
二人の行動に緊那羅が首をかしげた
「コレがおいちゃんの力でと思っていいよ」
鳥倶婆迦が言う
「どんな小さなことでもその人の力だろ?」
「よく言ったばか!!」
鳥倶婆迦の言葉に阿修羅が嬉しそうに言った
「一つの大きな力もいいけど沢山の小さな力でも力には変わらないよ緊那羅」
「…鳥倶婆迦…」
緊那羅が鳥倶婆迦のお面顔をじっと見た
「大きな力だって小さな力が合わされば大きな力になるんじゃない? だって1+1は小さくならないよ」
表情が変わらないお面の鳥倶婆迦が言った
「京助には緊那羅が必要なんだ」
「私…」
緊那羅が眉を下げた
「一人でやろうとしないこった」
阿修羅が鳥倶婆迦の頭に手を置いた
「竜のボンの体を守ることはオライにも手伝えるんけどな…竜のボン…の上の方の心を守れるのはお前しかいないと思うんぜよ」
阿修羅の言葉に緊那羅が少し驚いた顔を上げた
「緊那羅がいなくなって京助凄くムカムカしてた」
鳥倶婆迦が京助の様子を伝えた
「それだけ緊那羅は大きい力なんだよ京助にとって」
鳥倶婆迦の言葉に緊那羅が少し顔を赤らめてそして腕輪を見た
「…私は京助を守りたい…」
緊那羅が小さく言う
「そのために帰ってきたんだっちゃ…けど…私は…」
腕輪を片手で押えて緊那羅が目を閉じた
「いたいんだろ? 竜のボントコに」
阿修羅が目を細めて言う
「つれて帰るっておいちゃん3馬鹿と約束しただから帰るよ一緒に緊那羅」
鳥倶婆迦が言うと緊那羅がゆっくりと目を開けた
「…うん」
緊那羅が強く頷いた