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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第九回・録】ムカムカパラダイス

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「最悪…命を落とします」
窓枠にかけていた足を下ろした乾闥婆が真顔で言うと3馬鹿と京助が顔を見合わせた
「…マジで?」
乾闥婆が言った不吉な言葉に対し坂田と中島がほぼ同時に言った
「僕は嘘は嫌いです」
ソレに対し乾闥婆が真顔で返す
「鳥倶婆迦は【空】緊那羅がいるのは【天】…分けられているということはいくら貴方達が馬鹿だといっても名前でわかりますよね?」
乾闥婆が言うと3馬鹿と京助が頷く
「…そして今は【時】がくるという時…忘れているかもしれませんが僕等【天】と【空】は敵対する存在です」
「そうなのか?」
「…さぁ;」
乾闥婆の説明を聞いた中島が京助に聞くと京助が顔をそらしながら答えた
「覚えている期待はしていませんでしたよ」
乾闥婆(けんだっぱ)が笑顔で言った
「そっか! わーった! 【時】が来るから敵対心が上昇してるんだぁな!!」
南が言う
「そうです」
乾闥婆がにっこり笑顔を向けた
「わーぃ!! ほっめられたー」
南が万歳をして喜ぶ
「そんな中【空】の鳥倶婆迦が【天】に行ったらどうなります?」
南に便乗して万歳三唱をやっていた3馬鹿と京助に乾闥婆(けんだっぱ)が言った
「…どうって…」
両手を半分上げたままで京助が3馬鹿の顔を見渡した
「…ヤヴァイ?」
両手を挙げたままで坂田が言う
「少なくとも無傷で…とはいかないでしょうね…」
乾闥婆が踵を返して腕を前に出した
「俺も行く」
乾闥婆の肩を京助が掴んだ
「駄目です」
乾闥婆がきっぱりと断った
「俺等も行く」
窓からよじ登ってきた3馬鹿が靴を手に乾闥婆の周りに集まった
「駄目だって言ってるでしょう?」
乾闥婆が少し睨みを入れて3馬鹿と京助を見渡した
「俺らは【空】のヤツじゃないだろ」
坂田が言う
「俺等だって立派な関係者だもんね」
「無関係という最強の関係者だな」
南が言うと中島も言った
「貴方達にこの扉が見えますか?」
乾闥婆が聞いた
「見えるならば危険を承知で連れて行きます」
乾闥婆が指差す方向を見た3馬鹿と京助が少し止まった

「…見えないでしょう?」
しばしの沈黙を破って乾闥婆が言った
「おとなしく待っていてください」
乾闥婆(けんだっぱ)が腕を伸ばすとその腕がすぅっと消えた
「最善をつくし…っ!?;」
言いかけた乾闥婆の消えかけた腕を京助が掴んだ
「俺だって【時】の関係者なんだろ? つれてけったらつれてけッ!!」
「離して下さいッ!!;」
ブンブン腕を振って京助の手を振り解こうとする乾闥婆を3馬鹿が押えた
「つれてけ~つれてけ~」
まるで置いていけ堀の怪談を髣髴させるように3馬鹿が呪文のように繰り返す
「駄目ですッ! 離して下さいッ!!」
「やかましいッ! 行くったら…行くってんじゃんかッ!!!」
京助が声を上げると3馬鹿が目を見開いて乾闥婆から手を離した