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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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<名探偵とうじょう(バレンタイン・ミステリー)>

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「ほら、大当たり」秀美が嬉しそうにささやいた。
 良く見ると、その登ってきた大きな身体は、クラスメイトの藤井達郎だった!?
 思わず出て行こうとするボクは、強力に腕を引かれて倒れそうになった。
「コラ、一番良いところなんだからもう少し見てようよ」
 口調は怒っていたけど、秀美の表情は笑顔だった。

 藤井のヤツ、キョロキョロとまわりを見回したケド、何時の間にか島田さんの姿は見えなくなっていたんだ。

 でも藤井は、ボク等の居る方にある、石の狐に近寄ると、その横にある小さなほこらに手を突っ込んだ。
「あ! ほこらっていうのはこの事か? じゃあ……」
「そう金石っていうのは、コンの石、コンコンの事よ。やっとわかった?」
 その時ボクはなんだか分からないけど、ものすごく感動していた。

 でも、藤井は何もみつけられないのか、まだほこらに手を突っ込んでいる。

「ごめんなさい、そこには無いの……」
 驚いたことに島田かれんが藤井の直ぐ側に立っていた。
 キレイな包みを両手で大事そうに抱いて――。
 でも何故? 秀美はまるでこの事までも予想していたみたいだった。
「何故?」ボクはやっと口をきいた。
「あら、憶えてないの? かれんちゃんとは、あたし達小さい頃ここで良くあそんじゃない?」

 ボクは声が出なかった。

「小学校に上がる前だけどね。修くんなんか結構、かれんちゃんと仲良しだったわよ。ほらもう一人、チーちゃんだっけ? すごく元気な子」
「小学校が違ったから遊ばなくなっちゃったのね、きっと」