<名探偵とうじょう(バレンタイン・ミステリー)>
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┃ 前略、島田かれん殿
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┃ 獲物は既に我が手に在り。
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┃ 返して欲しくば探し当てよ。
┃ 神の下りたる白き旗の金石のほこら。
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┃ 古の記憶を辿りて捜し当てようとも、黄昏の
┃ 光と共に消え去ると知るべし。
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┃ かしこ
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┃ 怪盗ショコラより
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奇怪な文面にざわめきが起こる。
今やクラスのほぼ全員が集まって来ていた。
あの、学年で一・二位を争う秀才の刈谷哲夫や柔道の県大会で三位の巨漢、藤井達郎までもだ。
なんだかんだ言っても男子連中はみんな島田かれんの事が好きなんだろうか?
だとしたら、とてもボクなんかの出る幕は無い……。
それにしても怪盗ショコラってなんだ? 全くひどいセンスだ――。
「ねぇ修くん、あのコが島田かれんっていうコなの?」
秀美がボクのわき腹を突付いた。
島田さんはといえば恥ずかしそうに俯いたままだった。
作品名:<名探偵とうじょう(バレンタイン・ミステリー)> 作家名:郷田三郎(G3)