ヒューマノイド
それから1ヶ月の時が経った。
高見沢は毎日仕事で疲れ切って帰って来る。ゴロウにあれもこれもと充分な教育をしてやる暇がない。
それでもサラリ-マン、高見沢一郎とヒュ-マノイド・ゴロウとの妙に調和の取れた、不思議な共同生活が続いていく。
ゴロウが狭い部屋の中でウロウロとしていても、もうさほど気にはならなくなったし、単身赴任の寂しさもどこかへ消えた。そして男一人とロボット一匹、その穏やかな日々がこれからも続いて行くかのようにも見えていた。
だが、ゴロウはやっぱり進化したヒュ-マノイド。最新の[ミラ-・ニュ-ロン]機能が装備されている。そのためか、それを屈指し、見まね/物まねで学習を繰り返し、どんどん賢くなって行った。
言い換えれば、日を追うごとに人間の行動パタ-ンにより近くなった。その上に思考までもがだ。とどのつまりが、まさに人らしくなってきたのだ。
さらに月日は流れ、一緒に暮らし始めてから半年が経過した。
最近高見沢は、どうもゴロウの態度がデカクなってきたような気がする。ゴロウは人間に似過ぎてきた、いや、一郎の思考回路がコピーされたのかも知れない。そのせいだろう、悪知恵も付き、朝の目覚まし業務も時々サボるようになってきた。