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ヒューマノイド

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『御苦労君』には、この〔見まね〕機能が組み込まれてある。その上に、それの意味を理解し、意志を持って動作に替える〔物まね]機能まで発展させてあるのだ。
 要するに、ロボットに憶えて欲しい時、一度こういうことだと見せておく。そうすれば、自らそれに発火し、かつ認知して、さらにその意味を学習する。

 そして必要な時に、その場に合った適正な行動を取るようになるのだ。
 見まね/物まねを何回か繰り返し、ロボットは自らの知能を発展させる。『御苦労君』は、こんな高度な人口知能を持ったヒュ-マノイドなのだ。

 ただ、人間のように幅広く何もかも並行的に知能を育成させて行くところまでは未だ進歩していない。やはりそれはある特定の分野だけに限定される。
 結果、日常生活の中での需要に見合った特定分野、すなわちお話し相手か、お手伝い、さらに介護か、ペット。これらの四つのカテゴリ-に分類されている。

 こうして『御苦労君』には、(1)~(4)のそれぞれに対応したオプション・ソフトが用意されているということなのだ。

「おっおー、ただいま僕ちゃん、単身赴任中。うーん、必要とするのはやっぱりお手伝いロボットかな。ヨーシ、一匹買って帰るぞ!」
 高見沢はこう呟き、勢い込んで店内へと入って行った。
「看板にある御苦労君、おりますか?」
 これに応えて店員は「もちろん活きが良いのが、ピンピンしちょりますよ。お客さん、あの子は賢いんですよね。人気あって、買えるのも今の内かも知れませんよ」

 店員が購買心を煽ってくる。「やっぱり、そうか」と知った高見沢に、店員は「燃料電池で消費電力も少なく、1週間に1回水素カ-トリッジ・タンクを交換してもらえれば良いのですよ。さっ、お客さん、どうしますか?」と目一杯にたたみ掛けた。

 高見沢は店員のこの勢いに押され、「じゃあ、お手伝いプログラムで、御苦労君一匹……、買います」と口にしてしまった。後は大枚4万円のキャッシュを財布から取り出し、手渡した。


作品名:ヒューマノイド 作家名:鮎風 遊