ヒューマノイド
高見沢一郎、ただ今家族を京都に残し、アパートで一人暮らしの単身赴任。
「まったくオモロクもないよなあ、あ~あ」
世間の不幸を一手に引き受けたかのような男の溜息がついつい吹き出る。
こんな生活を三年も続けていると、自由な面もあるが、たいがい嫌になってくるもの。
暗い安物アパートに帰っても、もちろん誰もいない。自分だけのために食事を作っても、ちっともおいしくもない。部屋の掃除をするにも、会社から帰ってからではエネルギ-も残っていない。毎夜毎夜、ビ-ルをシコタマ飲んで寝るしかないのだ。
単身赴任三年目、されど高見沢は勤続二〇年の百戦錬磨の企業戦士。こんなことくらいで壊れてしまうほど柔ではない。
今の自分から脱皮し、一人暮らし自体がもっと価値あるものにできないかと考えたりもしている。
その一環が趣味のゴルフであり、その上達。
だが、今日のところは、ピタッと嵌まるドライバーが見付からなかった。また出直すかと諦め、少し足早に歩き始めた。
まさにそんな時だった。駅前の電気製品の中古ショップ、その店頭の看板が目に入った。
激安!
ヒュ-マノイド (ヒト型ロボット) : 御苦労君
一体……4万円
それは中古ロボットの安売りの看板だった。