ヒューマノイド
東京の御徒町(おかちまち)を、サラリ-マン高見沢一郎は少し疲れ気味でヨタヨタと歩いている。
それもそのはず、一日の仕事を終えて、今日はここまで出掛けて来て、中古ゴルフショップを隅から隅までウロウロと見て廻った。
最近どうもゴルフの調子がイマイチ。ここは中古品ドライバーを買い換えたい。そう思って、会社の帰りに長飛距離高弾道一本を探しに来た。
しかし残念だ。それは徒労に終わった。これぞというクラブが見つからなかった。
「あ~あ、やっぱりなあ、そう簡単には見付からないよなあ。ちょっと良さそうと思うと、お値段は結構高いし……、う-ん、疲れたし、もう帰るか」
一人ブツブツ言いながらトボトボと歩いている。
「しかしなあ、部屋に帰っても、誰かが待ってくれてるわけでもないし、一人ぼっちだし……、なんとも仕方ないよなあ」
こんな重い独り言が漏れてくる。