ヒューマノイド
高見沢はホント優しいヤツだ。そして、さらなる疑問を率直に訊いてみる。
「さっき、俺のベッドで、二人抱き合ってたよね、あんな行為を、どこで学習したの?」
するとゴロウが部屋の隅の方を指差す。そしてシレッとした顔で言うのだ。
「あそこの机の引出しの奥の方に入っている……、DVDですよ」
「えっ、それって、18禁DVDか? 洋物、和物とあるわなあ。あんなの観て、Hを学習したのか? エグイのばっかりじゃん」
高見沢は大びっくり。隠し持っていた秘密のアダルトDVDがヒュ-マノイドの学習に使用されたと思うと、「おまえらアホか、反省せ!」と怒鳴り付けたかった。だが恥かしくもあって、そういうわけには行かない。
「そうか、体内に組み込まれている〔ミラ-・ニュ-ロン〕機能で、何でも見まね/物まねで、君たちはどんどんといろんな知恵を付けて行くんだね」
高見沢はほとほと感心する。そんな時に、今度はメアリ-さんが少し寂しそうにぽつりと呟く。
「私、まだ……、エクスタシ-(ecstasy)を感じてないのです」
メアリ-さんからのこんな驚異の発言。なんぼ人生経験豊富な高見沢一郎でも返答に困ってしまった。そして高見沢はゴロウの頭を思い切りひっぱ叩いて言ってしまう。
「こらっ、ゴロウ、おまえの責任だぞ! もっとメアリ-さんのために……、学習に励め!」
そして高見沢は少し言い過ぎたかなと気を落ち着かせ、話しを続ける。