ヒューマノイド
メ-ド・メアリ-さん、高見沢の胸はもうワクワク。
ダンボール箱を落とさないように抱え、アパートへと持ち帰った。そして早速組み立ててみる。
すぐにその姿形が見えてきて、嬉しくなる。
「なんとスタイルの良いことか、ゴロウの骨太筋肉質とは大違いだ」
高見沢は笑みを浮かべながら独り感想をもらす。それに反応したのか、メアリ-さんが初めて声を発する。
「私、メ-ドのメアリ-です。ご主人様のために一生懸命家事お手伝いさせて頂きますので……、よろしくね」
声が透き通っているではないか。感動ものだ。
しかし、ここはご主人様らしく、思い切って最初のお願いをしてみる。
「明日の朝食は、久し振りにスパニッシュ・オムレツが食べたいのだけど、お願いします」
こんな唐突な注文に、「わかりましたわ、ご主人様。ペッパ-はブラックの粗挽き……、少し多目でよろしいでしょうか」と返してくれる。
「男のコダワリまで聞いてくれるんだね、ありがとう、ペッパ-はパラパラっと、見た目が黒っぽくなる程度に。それとハラペ-ニョ・ソ-スを横に添えておいて欲しいのだけど、ええとええと……、サラダのドレッシングは、ベネガの利いた絶対イタリアンね、よろしく」
高見沢はここぞと思い切り注文してみた。
「はい、承知致しました、ご主人様」
実に可愛い声で、いや、鈴を転がすような声の返事があった。