ヒューマノイド
「このメ-ド・メアリ-さんは、ZMPのゼロ・モ-メント・ポイント、すなわちそれは総慣性力ベクトルが床と交わる点なのですが、そのZMPの移動がいつもスム-ズになるように、徹底的に機構開発されています。そのため、動歩行が非常にしなやかなのですよね。簡単に言えば……、セクシ-なのですよ。また軸受けの材質が金属から硬質有機新素材に変えていますから、その自由度が増し、手先も器用です。例えば、男性ロボットではスクランブル・エッグしか作りませんが、彼女は、サニ-サイドアップ(目玉焼き)も黄身を崩さずに。その上にですよ、出汁巻き玉子……ふんわりこんと巻き上げるんですよね」
さらに店員は説明を付け加える。
「身長は150センチと従来型に比べ画期的に背が高く、また体重は30Kgと随分スリムですよね。膨らむ所も膨らんで、ナイス・バディ-でカッコイイですよ」
ここまでの説明を受けて、高見沢はゴロウのヤツと雲泥の差だと確信した。
「じゃあ、メアリ-さん、一体買います」
こう伝え、これからの単身赴任生活に夢を膨らませ八万円を支払った。