小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

映画に観るディストピア(世界終焉・人類滅亡)

INDEX|5ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

映画「ドラゴンヘッド」
原題: DRAGONHEAD  
監督:飯田譲治 
製作総指揮:近藤那勝
製作:相賀昌宏
脚本:NAKA雅MURA、斉藤ひろし、飯田譲治
主演:妻夫木聡、SAYAKA
共演:山田孝之、藤木直人、近藤芳正、根津甚八、寺田農、谷津勲、松重豊、嶋田久作、角田幸恵、藤井かほり
原作:望月峯太郎(1997年、第21回講談社漫画賞一般部門受賞)
音楽:池頼広 主題歌:「心ひとつ」MISIA
ロケ協力:ウズベキスタン共和国
特別協賛:ローソン
邦画 2003年 122分

★ストーリー
高校生のテル(妻夫木聡)は、修学旅行帰りの列車に乗っていた。トンネルに入ったとき、突然、原因不明の大事故が起きる。意識を取り戻したテルが見たものは、折り重なるようにして死んでいる同級生たちだった。生き残ったのは、テルとノブオ(山田孝之)と、アコ(SAYAKA)の3人。しかし、ノブオは恐怖から正気を失い、2人に襲い掛かろうとする。ノブオから逃れ、トンネルの外に出たテルとアコ。そこには、灰と化した大地が広がっていた。2人は、東京を目指して歩き始めるが…。

☆映画総評
去年(2009年)の末から今年(2010年)の初めごろまで映画「2012」が上映され、また、人類終焉と言う天変地異的でディザスター映画がブームとなった。それでなくても、昔からスペクタクル映画と言えばハリウッドの定番であり、ハリウッドで作られた映画からインスパイアーされて日本映画も規模の小さいディザスター映画を制作するのだが、どうしても日本国内と言う規模に小さい映画になる上に、外国の俳優を使ったりすると、ホント安い外人を使ってしまい、こいつ俳優じゃないだろう!な外人を平気で使っています。最近は大分良くなってきましたが、昔の映画はかなり酷かったです。

その中で、日本が、日本独特の哲学を持ったディザスター映画「日本沈没」を制作し、日本国内で空前の大ブームを巻き起こしたが、日本人による日本人にしか分からない滅びの美学があったからこそ、あの当時は一大ブームへと繋がったのだし、映画のブームからテレビドラマへとシリーズ化してしまい、なんと日本沈没はドラマの流れに沿って西から東?的だったか忘れたが、要は順々に日本列島がエスカレーターの下り階段の様に沈んで行くので、ご当地の人間模様が見れて楽しかった?んですね。この日本人独特の滅びの美学っていうのか沈没の美学でいうと、太平洋戦争で言う戦艦大和なんでしょうね!だから、この日本人独特の遺伝子が騒ぐのか、沈没とか海上特攻ならぬガミラス星に宇宙戦艦ヤマトが宇宙船一隻だけで特攻みたいに行くのが美学であり、日本の小中高の少年少女達が熱狂したのでしょう。

そんな天才・小松左京によるある意味、実験的な小説「日本沈没」は日本亡き状態で日本人は世界の国々で生きていくことが出来るのか?だったり、日本人を最も早く本当の意味でのグローバルな人種にするには、ここまでの荒療法がなければ無理なのではないか?という恐るべきテーマが眠っていたのだけれども、何を変に解釈したのか、映画「日本沈没」からのちゃちいミニチュアの大阪城だったり、東京タワーがひん曲がったりする特撮だけに目が行ってしまい、リメイク版の「日本沈没」では、日本の代表でもある内閣総理大臣役の石坂浩二がまさかの日本人発言「日本と一緒に沈もう」的な日本人の内なる気持ちを暴露するんですね、怖いですね!世界やアメリカ合衆国では絶対に陥らない境地ですが、日本人はそうなる可能性はなんだか高そうですね、なんて思わず納得するのは自分も日本人の遺伝子が騒ぐからでしょうか?

と言う事で今回紹介するのが、映画「ドラゴンヘッド」である。マンガでは1997年頃から人気が巻き起こり、現在ではコミックが650万部も売れていると言う大ベストセラーであり、またまた、マンガの映画化という王道をご多分に漏れずやってしまうのであるが、マンガの実写化の監督が、この当時、若者の間で人気があった飯田譲治が監督と言う事で、これはもしかしたら、ひょっとして出来が良いんじゃない!なんて期待する人々も多かったと思う。因みに私も、その口でした。題名が近かった「ナイトヘッド」(1992~1993)がブームでもあり、映画「アナザヘヴン」(2000)でも原作と監督も手掛ける才人である。

そんなあの頃、旬な監督が手掛けるのだから、と、期待して劇場に足を運んだ記憶が甦ってきますが、世間様ではかなりの酷評だったみたいで、大多数の酷評な意見は「つまらなかった」である。つまらない、一言で言うとつまらないと言う言葉ほど良く使われるが、つまらないと言う人の多くは、面白い=ハリウッド映画という図式だったり、洋画が面白いが日本映画は貧乏臭くて観たくない、とか、態々、映画館まで行って大きなスクリーンで見るほどではない、画角が小さいから狭苦しくて嫌だ、とかなんだけど、おっしゃる通りとは思うが、ただ、私個人としては好きな映画です。

好きな理由は、今までのディストピア映画だったりディザスター映画って、災害なり核戦争が起こってから既に時が経って、そこでの生き残った人間のコミュニティーが出来ているのが多く、または映画「2012」のように超巨大なノアの箱舟に滑り込みセーフまでの珍道中を見せられても、余りにも主人公達のご都合主義状態に感情移入なんて出来っこなくなります。それに比べると、「ドラゴンヘッド」はかなり地味な映画なんだけど、なんだかやけにありそうだし、VFXもさることながら、態々ウズベキスタン共和国くんだりまで崩壊した東京風景を撮影しに行くなんて、結構気合入っています。確かにこの映画もところどころ突っ込み処満載ではります。

例えば、SAYAKAの演技が下手だったのはどうしようもないし、新幹線のトンネルから何故か御都合良く外の世界に繋がっている空気坑の存在も怪しいし、それよりも心情的にはあのトンネルの天井にある空気坑から逃げたいとは思わなく、やっぱり救助を待ちたい気持ちが普通なら強いだろうな~と思っちゃいます。子供の脳手術をした病院のお子様ルームの色とりどりの風船にはセンスの無さを感じるし、最後に至っては、何日間も食事を取っていないSAYAKAと妻夫木聡が、渋谷駅地下の秘密食料貯蔵庫から地殻変動で逃げるシーンでは妻夫木聡でさえもロクに食べていなのに、どこにそんな体力あるんだよって位にSAYAKAと一緒に元気に逃げるのにはホントかよ!と突っ込み処になります。何と言っても、凄い演出は、この絶望と言う未来しかないだろうと思う位、最後の避難場所が崩壊し、渋谷駅の近場ではマグマの活発から火山が隆起しちゃうし、もうホント、マンガアニメの「原始少年リュウ」でも始まるのかよ~と叫ぶ程、完全にこの世の終わり状態でのまさかの妻夫木聡の「生き抜くぞ」宣言には、余りのリアル感の無さにズッコケテしまいました。