「秋の恋」
「初対面の女にそんなことするように見えるか?命の恩人になんてこと言うんだ」
「命の恩人だから、しよ~ぜとか言うんじゃないの?」
「あほ!」
そういった時にドアが開いた。
部屋は清潔そうで、手前に二人がけのソファとテーブル、部屋の真ん中にクィーンサイズのベッドが置いてある。
「ほら、髪を洗ってこい。俺はテレビでも見てるよ。お、ゲームもあるな。お風呂場を覗こうなんて思ってないから早く行ってこい」
バスタオルとフェイスタオルを持ってお風呂場に行った。
大きめのお風呂と家と似たようなシャワーがあった。
お風呂にお湯をためながら、シャワーからお湯を出し、頭を突っ込んだ。
お湯と一緒に砂が流れていく。
手触りもザラザラしていたけれど、2度洗ってどうにかいつもの髪の感触になってきた。
半分くらい溜まったお風呂につかって、この状況を考えた。
「なんで私はこんなところでお風呂につかって、ほんわかしているんだ……」
思い切り足を伸ばし、見つけたジャグジーのスイッチを入れた。
ボコボコわき上がる泡の中に沈み考えた。
「あいつ、思ったよりはいい奴だな。これでお風呂上がりに手を出さなかったら惚れるかも」