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朝霧 玖美
朝霧 玖美
novelistID. 29631
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「秋の恋」

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ところで、この男の名前は友也。
この江ノ島の海岸で休みというと波に乗っている。
高校生の時から始めて、30歳の今でも海から離れられない。
まぁ、台風の時くらいしか波乗り魂を騒が満足させる波は来ないのだが、それでも江ノ島が見えて、烏帽子岩も富士山も見える、この海が好きで週末や休日に通ってきている。
今日だって、そこそこの波で楽しくやっていたのだが、あの女がぶち壊した。
「ばかやろ~!」「やってらんなーい!」
そんな言葉を海に向かって叫んでいる。と言っても、思い切り大声じゃ無いのが、また気に触った。「なんで、思い切り叫ばないんだよ~!中途半端な声じゃ気になってしょうが無いだろう」
ちょっと浜辺へ上がって、文句の一つでも言ってやろうと海から上がり、スウェットスーツの上半身を脱いだところで、鳶が急降下して来るのが見えたのだ。
だから急いで浜へ上がり、走っていって顔も見ずに押し倒した。
その後、相手は文句たらたら、こっちがどんな思いで海から走ってきたかなんて、考えもしない。
「そう言えば、あんたってどこから来たの?」
鳶じゃ無いが、どこから沸いて出てきたんだろう?
突然走ってきて自分を突き飛ばして砂まみれにしたこいつは何なんだ?

作品名:「秋の恋」 作家名:朝霧 玖美