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41.変。(12/16) :似てない双子


「変」
「…え?」
「やっぱ今日なんか変だよニヒツちゃん…どうかしたの?」
 アレスの口からそんな言葉が飛び出したのは、魔術の実習でニヒツが呪文の詠唱に失敗した時だった。
「そんな…ちょっと失敗したくらいで大げさっすよ」
「だって、ニヒツちゃんなのよ? それに、今日の失敗はこれだけじゃない。朝食の時にはコップを割ってたし、そのあと階段で躓きかけたじゃない」
 そう言われても…とラウフが困った顔をする。
「大したことじゃないと思うっすけどね…オレもよくやるし」
「ラウフと一緒にしたら大抵の人がドジじゃなくなるでしょうが」
「なっ…!?」
 もちろんアレスだって、これが他の人ならばそれほど不思議には思わないだろう。
 だが、相手は弟なのだ。弟に限ってそれは有り得ない。
 お世辞でも身内への甘さでもなく、彼女はただそう確信していた。
「…うん、なんだかちょっと調子が悪いみたいだ。ゆっくり休めば治ると思う」
「やっぱり…ニヒツちゃんはいつも頑張りすぎるんだから。ちゃんと休める時には休むんだよ?」
「あぁ…わかってる」
 思えば、この時気づくべきだったのだ。
 彼女がちょっとその言葉を疑ってさえいれば、彼は体調などこれっぽっちも悪くはなかったとわかったはずなのだから。
  果たして。彼は翌日、学園内から姿を消した。
『姉貴、ごめん。俺を捜して』
 そんな奇妙な書き置きを一つだけ残して。