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40.テレビジョン(12/15) :設定なし


『テレビの前の皆さんこんばんは!テレビショッピングのお時間です!』
「! もうそんな時間か…」
 BGM代わりのテレビの声で時間を知った私は、勉強の手を休めて椅子の背もたれに寄りかかる。
『本日の商品は、勉強家のあなたにこそオススメです!』
 ぐーっと伸びをしてマグカップに手を伸ばすと、中身がなくなっていたことを思い出す。
「…コーヒー入れるかぁ…」
 つぶやいて、キッチンからぱく…借りてきている電気ケトルのスイッチを入れる。
『そしてその勉強のおともにとコーヒーを入れているあなたにこそ!ふさわしい商品となっております!』
「……」
 なんかやたらとピンポイントな層に向けた売り文句だな、と思った。
 だから、ちょっとした気まぐれを起こした。
「なにそれ私のことー?」
『そう、あなたです!』
 馬鹿馬鹿しい。
 にしても見事に会話が成立したなぁ…
 そう思いながら、椅子から立ち上がる。
『あ、足元気をつけてくださいね。先ほど落としたペンがありますから』
「わかってるわかってる…って、え?」
 そこで、初めて私はテレビを見た。
 そこには、いつものアナウンサーだとか販売員だとかは映っておらず、代わりにやたらと派手な服を着た美青年が笑顔で映っていた。
 それはいうなれば…何かのマスコットキャラのような。
『やぁお嬢さん!やっと目が合いましたね!そんなあなたに耳よりな情報があるんですがいかがですか?』
 そいつはごく当然のようにテレビのこちらがわの私に話しかけてきた。
 今でもたまに考える。
 なんでこのとき、返事をしてしまったのか。
 勉強漬けの日々に飽きていた私には…きっと、この明らかな非日常が非常に魅力的に見えていたのだ。
 かくして私は、この不思議な世界へと飛び込んだ。