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26.尻尾(12/1) :ギリヴ


「兄さん、ちょっと明日の仕事の打ち合わせを…って何やってんすか?」
 それは非常に珍しい…というか見たこともない光景だった。
 兄さんが、椅子に後ろ向きに座って背もたれにもたれかかっている。
 その背後に座る朝霧が、兄さんの尻尾をブラシで懸命に梳かしていた。
「…ああ…」
 兄さんがオレを見て頭を押さえる。きっとまずいところを見られたとでも思っているんだろう。
 そしてオレは考える。
「兄さん…」
 良いオモチャを見つけたな、と。
「気持ちいいっすか?」
「うるせぇ」
「そんな邪険にしないでくださいよー。で、何してんすか?」
「話す必要はない」
「…あの、僕が双葉に」
「お前も言わなくて良い」
「え、でも…」
「夕闇、お前は何の話をしに来たんだ」
「あ、仕事の話します? 兄さんがそれでいいならオレも別にいいんですけどね?」
 暗に匂わす。事情を話さなければどうなるのかを。
 もちろん兄さんなら、オレがこの程度のことを誰かに言いふらすような、そんな利益のないことはしない、というのはわかっているだろう。
 だが、オレが本当に誰にも何も言わないと思えるほど、オレを信用しているはずもない。
 そして万が一そうなったときには尾ひれがつく可能性が高いこともわかっているはずだ。
 つまり、どちらが兄さんにとって得なのかは考えるまでもないのだ。
 やがて兄さんは大きなため息をついた。
「…朝霧。話せ」
 それでも自分の口からは言いたくないらしい。
「え?いいんですか?」
「ああ」
「はい…あのですね。僕、前からずっと気になってたんです。双葉の尻尾が簡単な手入れしかされてないってことが」
「ほう…確かにその尻尾、ちゃんと手入れしてやればそこら辺の毛皮なんかよりよっぽど綺麗になりそうだもんな」
「でしょう。だから僕言ったんです。『僕にその尻尾の手入れをさせてください』って。最初は断られましたけど…何度も何度も頼んでたら双葉が折れてくれて。だからこうして手入れをしていたんです」
「あぁ、お前にそうやって頼み込まれちゃ、この人が勝てるはずねーもんなぁ」
「……」
 いくらそうしてオレを睨んだって、あんたがこのチビに死ぬほど弱いっていう周知の事実は覆らねぇんだよ、と思う。
「ちょ、そんな睨まないでくださいよ!」
 当然、口には出さないが。
「や、でも艶が出てすごく良い感じですよ? これから毎日梳ってもらったらどーです?」
「…………」
「わっかりましたーこれ以上余計なこと言う前にとっとと打ち合わせ済ませたほうがよさそうっすね!えぇっと、二、三確認したいことがありまして…」