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15.上を向いて(11/20) :夕陽菜


 ユウの部活が終わるのをぼんやりと待っていた放課後。
 ふと良いことを思いついたあたしは、わくわくしながら教室のベランダに出た。
「そろそろ終わりかなぁ」
 つぶやいた直後、剣道部の人が校舎への道を歩いてくるのが見えて、はっとする。
 何人かの部員が校舎に入っていった後、いよいよ見えたユウにテンションが上がって、大きな声で名前を呼んだ。
「ユウー!」
 彼は、驚いた様子もなく目線を上に動かして、あたしに気づいて笑顔を見せた。
「お、ヒナだ」
「部活どうだったー?」
「どうってなんだよ…まぁ、いつもどおり面白かったよ」
 ユウが、苦笑気味にそう返す。
「ていうか急にどうしたんだよ。いつもは俺が教室に帰るまで待ってるだろ?」
「だって…急に思いついちゃったんだもん」
「何を?」
「その…いつもはあたしがユウを見上げて話すでしょ? だから…」
 たまには見上げられたいな、なんて。
 ユウはその言葉を聞いて、しばらく呆然とした後
「……くっ」
 と吹き出した。
「あっ!笑った!」
「ふっ…はは、なんだよそれ…面白いこと言うよな、ヒナって」
「わっ笑わないでよっ!!」
 とたんに恥ずかしさが込み上げてくる。顔が赤くなったのもわかる。
「ごめんごめん…俺やっぱヒナのそういうとこ好きだよ」
 そう言いながら、ユウはまだちょっと笑ってる。
「もう…」
「いいじゃん。たまにこうやって話そうよ。新鮮だし」
「えっ…?」
「普段は俺が見上げられてるからなー。なんだろ、ご褒美?」
「なにそれー!」
「あはは…じゃ、着替えてくるな」
「もー…」
 わざと不機嫌な顔を作ってみせると、ユウはもう一回笑った。
 そして、校舎に入っていくユウを見送って、顔がにやにやした笑顔に変わってしまいそうになるのを抑えながら、あたしも教室へと戻ったのだった。