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蜘蛛ヶ淵

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 道元は必死で肉に食いついていた。死者の怨念に取り憑かれた僧侶は、既に人ではなかった。
「行こう。あんな奴は放っておいてもいい。殺す価値もない」
 美由紀が頷く。清吉は歩きだした。その後に美由紀が続く。
「山のあなた国々には、俺たちが暮らせる所があるはずだ。そこでひっそりと二人で暮らそう」
「ええ、どうせこの世に存在しない二人だものね」
 美由紀がにっこりと笑った。かつては自殺を考えた女とは思えない笑顔である。
「どこまでも一緒に行くわ」
 美由紀が清吉の腕に腕を絡めた。


(了)

作品名:蜘蛛ヶ淵 作家名:栗原 峰幸