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マナーモード
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初めて将来に失望したとき

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「じゃあ、有名人にも会えますね?」
「そうね。過去の話も混ぜていい?」
「ミーハーなので、是非聞かせてください」
「ええと、思いつくまま云うと、向井千秋でしょ、石原裕次郎、加山雄三、石坂浩二、阿川佐和子、大野雄二、村井邦彦、松任谷正隆、竹内まりや、きりがないわ」
「文学関係だと?」
「多いわ。まずは遠藤周作でしょ、佐藤春夫、堀口大学、萩原朔太郎、安岡章太郎、夏樹静子……」
「残念。到着しました。パソコンの小説のサイトで、ノべリストJPというのを見てください。私の小説を、読んで頂きたいんです。ハンドルネームは『マナーモード』です」
「えっ?マナーモード?今ね、携帯をマナーモードにしなくちゃって、思ってたのよ」
 グランドプリンス新高輪の玄関で車からおりた裕福そうな婦人は、ホテルの案内係の若い女性に「飛天の間」へ案内されて行った。
 私はそういうパーティには勿論縁がない。勝ち組ということばと、負け組ということばがある。私は当然後者ということになる。