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ホワイト・グ-ス・ダウン

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朝からこんな奇怪な会話を妻と。
高見沢は変ちくりんな気分ではあったが、懲りずにさらに聞いてみる。
「このパンの上に乗ってるチーズ、いつもとちょっと違うよね?」

すると夏子はしれっと言う。
「フォアグラよ、高級品なのよ」と。

高見沢は朝っぱらからこんな事があり得るものなのかと驚き、
「へえ、フォアグラね、で、誰にもらったの?」と聞き返す。
夏子は話して良いものかどうか躊躇しているようでもあったが、覚悟を決めたのか言い放つ。

「パパのよ、
毎日お酒飲み過ぎで、肝臓腫れてるでしょ、
夕べ寝てる間に、少し切り取っておいたの、グァ−グァ−」

「*@%&<?」
高見沢はもう声も出なかった。

これは絶体に夢だと思いたかった。

そして、こんな奇妙奇天烈な朝食に愛想を尽かし、
「夏子、ゴメン、朝御飯、今日は要らないよ」と告げ席を立った。

後はさっさと家を出ないと、バスに間に合わない。
とにかく高見沢は会社へ行かなければならない、その一心なのだ。
「行って来ます」と夏子に告げ、玄関のドア−を開けて外へと出た。

その瞬間、高見沢は度肝を抜かれ、総毛立つ。
そこにはそれはそれは恐ろしい光景があったのだ。

ホワイト・グ−スの軍団がグァ−グァ−と大騒ぎ。
確実に150匹はいるようだ。

これを目にして、高見沢はショットガンで打ち抜かれてしまったような御臨終気分。
そのせいか意識も朦朧として来た。
もう今日は会社には行けない、高見沢はそう確信した。