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ホワイト・グ-ス・ダウン

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高見沢は洗面所に戻り、胸にシェ−ビング・クリ−ムを思いっ切りぶっかける。
そしておもむろに白い胸毛を剃り始める。

それはむく毛だと言っても皮膚からしっかり生えている。
そのためか、その根本にカミソリの刃がゴツンゴツンと当たる。

しかし、朝から大奮闘、胸毛からへそ毛まで綺麗に剃り落としてしまったのだ。
だが無理矢理のところがあったのだろう、皮膚からは血が滲んでいる。
そして結構痛みがある。

高見沢は鏡の前に置いてあった夏子の手荒れ止め用クリームを取り上げ、とりあえず胸に塗りたくってみた。

「ああ、痛いなあ、しかし言い換えれば、こんな思いを150匹のガチョウにさせたのか、申し訳けないよ」
まことに殊勝な気持ちになっている。

そして、徐々に落ち着きを取り戻し、朝食を取るためにダイニング・ル−ムへと降りて行き、テ−ブルについた。
既に夏子が朝食の用意をしてくれている。
朝食はいつも簡単で、トーストととろけるチーズ、そしてサニ−・サイド・アップが定番。

「今朝の目玉焼き、ちょっと大き目だね、皿からはみ出してるよ」
こんな高見沢の呟きを耳にした夏子は、まるで何事もなかったかのように、さらりと。

「そうよ、パパ、ベッドの中に玉子が2つ転がってたの … 多分、グースのだわ、
それとも私が … 夕べ生んだのかしら、グァ−グァ−」

「グースの玉子? 
おいおい、待ってくれよ、日本語で言えば、ガチョウの玉子だよな?
ちょっと目玉焼き、遠慮させてもらって良いかな?」

「パパ、嫌なら残しておいて頂戴、隣のジョンに上げるから、
最近ドッグフ−ドも飽きて来てはるようだし、だってこの間、ニワトリ咥えてはったもん」