ホワイト・グ-ス・ダウン
冬へと向かうこの季節、朝は暗い。
高見沢はゴソゴソとベッドからすり降りて、手探りでパジャマからシャツへと着替える。
夏子はまだ眠ってるようだ。
高見沢は朝の洗顔とひげ剃りのために洗面所へと向かう。
洗面所は大きなものではないが、前面に三面鏡がついている。
半目閉じたまま歯を磨き始める。
そして、うがいをして、やっと鏡に映った自分の姿を見る。
「えっ、どうしたんだよ、これっ?」
胸の辺りに白い毛がくっついているようだ。
それが下着のシャツの合間から見える。
「そうか、羽毛がひっついたのだな、寝てる間にふとんのどこかでも破れたのかなあ、それにしても、おかしいなあ、夕べはおとなしくしてたのになあ」
高見沢はこんな呟きをしながら、自分の胸にひっ付いている白い毛を取ろうと、まずは指先で摘んだ。
そして力を込めて引っ張った。
「アイタ! なんだよ、コレッ!」
驚きだ。
白い毛は高見沢の胸に付いているのではなかった。
まさに、高見沢の皮膚と繋がっていたのだ。
作品名:ホワイト・グ-ス・ダウン 作家名:鮎風 遊