傷
「何をするの」
強い力で床に倒された。
秋草は大声を出そうとしたが、口はガムテープで塞がれた。
手と足をばたつかせたが、森田は楽しむようにゆっくりと、足を包帯で縛り始めた。
秋草の持っていた懐中電灯の光の束が、2人から離れた場所を照らしていた。
足を縛り終えた森田は、手を縛り始めた。声を出すにも
唇が動かない。
森田の顔が、まるでくちずけでもするかのように近くなった。
首に森田の両手が巻きついた。
森田は、愛した秋草に傷を付けたくはなかった。
美しいままでいて欲しかった。
森田の手に力が入って行く。
秋草は次第に記憶を失って行った。
ぐったりした秋草を見た森田は、自分で用意した睡眠薬を飲んで、秋草の横に並んで寝た。