傷
冷蔵庫からビールを出し飲んだ。
そして、畳の上に大の字になって寝た。
布団を敷きに来た係の男が入って来た。
「夕食の時間ですよ」
「ありがとう」
青田はそのままビールを飲んで寝てしまった。
朝飯をすませ、青田はフロントに行った。
財布を落として持ち合わせがないから振り込みをしたいと申し入れた。
だがなかなか信用はしてもらえず、青田の自宅に電話を入れ、由美が上手く話を付けてくれた。
たった3万円ほどの金でこれほどの苦労と恥を欠いたのは、大学生の時以来である。
ホテルを出ると、すぐに手を振っている大塚桜がいた。
「何してんだ」
「ごめんなさい。免許証ないと困るからと思って」
「ありがとう」