傷
たった1時間ほどの夫婦のつながりが、今までにない夫婦の会話の様に2人を近づけた。
由美も青田も充実した気分であった。
「私たちいつまでもこのままよね」
「何を言い出すんだ」
「ごめんなさい。変なこと聞いたりして」
「幸子が心配するようなことはしないよ」
「そうね、そうよね」
青田は由美への愛を再び感じた。
自分の心を支配している肉体が、今の青田には蹴とばしたいくらいに憎らしく思えた。
洋子に会い洋子と関係をすれば、洋子を愛おしくなるのが青田には解っかていたからである。
同時に2人の女性を好きになった自分を考え始めた。
悪いことではないように青田は思い始めた。
自分の心に素直なだけではないかとも感じていた。
どちらか一人を幸せにして、一人を不幸にすることよりも、青田は2人を幸せにしたいと考えた。