傷
「そんなことないよ」
「図書室にいつも二人でいるって知ってるもん」
「文集を出すので仕方ないよ」
「青田君顔が赤くなってるわ」
「見えるわけないのに、からかうのか」
「噂になってるから仕方ないでしょう」
「僕は卒業したら、二部の大学に行こうと思う、海老原さんはどうする」
「話を逸らしたわね。私は今の会社に残る」
「定時制では中卒と同じ扱いだから、僕は大学を出て一流の会社に勤めるよ」
「青田君は頭いいからね」
「勉強は時間さえかければ誰だって出来るさ」
「私は時間かけてもダメみたい、でも少しは何かを覚えてる」
「僕は貧乏が嫌だから勉強をしているんだ、お金のためさ」
「将来は青田君お金もちね」
「家族に貧しい思いはさせないよ」
「青田君と結婚する人は幸せだわ」