傷
定時制高校
「青田君帰ろうよ」
「山崎さん今日も休んだね」
「一週間になるわ」
「今日山崎さんの所に行こうと思うんだ、付き合ってくれないかな」
「いいわ」
「サンキュー」
青田は海老原と学校を出た。
山崎の家は学校から自転車で30分もかかる所であった。
町はずれであった。
田んぼの畦道になると、カエルの鳴き声が聞こえた。
「ずいぶん淋しいとこなんだ」
「私の家もこんなものよ」
「夜道をひとりで怖くない」
「みんな顔なじみだから安心してる」
「若い綺麗な海老原さんが心配だよ」
「本当は山崎さんを心配してるんでしょう」