傷
「ごめんなさい」
秋草はナース服のビールをあわてて拭いた。
青田は我に返ると、ばつの悪さを感じた。
「これから夜勤よ」
秋草は時計を見た。
由美とは同じ年なのに、外で働いているからなのか美しい。
容姿の美しさが、男の欲情を誘うのだろうか。
もしも、秋草が由美よりも容姿が劣っていたなら、青田は秋草を求めたであろうかとも考えた。
由美には失われた女の魅力を秋草は持っているのだ。それは容姿から来るものかもしれない。
焼肉店を出ると、秋草と別れた。
青田は由美への言い訳を考えていた。
仕事で出た青田をどんなに遅くなっても由美は待っていたのである。
結婚してから1度も寝てしまった事は無かったのである。
青田はそんな由美を愛おしかったのも事実である。