傷
「そうよね。それが本音よね」
「男らしくないな」
「男らしいわ。妻子を守ってるんですから」
「自分勝手で」
「森田先生なら愛情はあるかもしれない。でも好きでも嫌いでもないし、好きなのは青田さんなのよ」
「ごめん。こんな関係にならなければ良かった」
「何を言うの、女は1人でいると淋しいのよ。これからマリネも居なくなるし・・・」
「君が良いなら、上手くやるよ」
「でも、海老原には悪いと思ってる」
秋草も青田と同じく迷っていたに違いない。
秋草が青田に体を寄せてくると、青田は今までの迷いは消えて、秋草の胸に手を入れながら、唇を合わせた。
獣のような愛の表現であった。
焼き肉のニンニクの臭さも気にはならなかったのであった。
白いナース服にビールがこぼれた。