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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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青空を飛んで

  

11月の半ばに、北野海美から電話が青田にあった。
アレス工業との契約成立のお礼にと、北海道の遊覧飛行に招待してくれたのである。
青田は1人で行けば当然男と女の関係になると思っていた。
秋草との関係が無ければ青田はそれを望んでいたのである。
今となって、1000万円の金を貸したとはいえ、そのような関係を求める事の不純な事に少し抵抗を感じた。
青田は幸子を連れて行くことにした。
入試前の大事な時間ではあったが、幸子は喜んでくれた。
北野にその事を伝えると、快く承知してくれた。
札幌から、北野の操縦で飛び立った。
青い空である。阿寒湖、摩周湖、層雲峡、美幌峠など
空から眺めてみると、青田は少年の時に山に登り、いかに自分の存在が小さいのかと思い知った。その事を今感じていた。
「幸子、自分が小さく見えないか」
「気持ちいいわ。何も考えたくない」
「人生自分で切り開くのよ」
北野が言葉を挟んだ。
作品名: 作家名:吉葉ひろし