傷
大人のこのおぞましさに、青田は幸子の人生が決められていくことに、言い知れぬ恐れを感じ始めた。
どんな事をしても幸子を推薦させなくてはならないと青田は決めた。
推薦の決定までの日にちはあと数日しか残っていない。
青田はいろいろ考えたが、秋草に電話を入れた。
「昨日のホテルの21号室に予約してある、7時に入っていて欲しい」
青田は森田になり済ました。
「7時ね。解ったわ」
秋草の声は弾んでいた。多分推薦の報告と思っているのだろうと青田は感じた。
ラブホテルの部屋に車は1台しか入らないので青田は2部屋予約を入れた。
青田は21号室に7時少し前に入った。
7時ちょうどに秋草がドアを開けた。