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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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1枚の絵


青田は父親の絵を見ていた。そして自分を省みていた。
倒産寸前の会社を救った事もあった。一家心中の覚悟の人を助ける事も出来た。しかし、多くは税金を何とか少なくする事であった。
父は母にあれほどの苦労をかけて何をして来たのだろうか。
もしかすると母の苦労に見えた姿は、自分だけが感じていた事なのかもしれない、母にとっては苦労ではなかったのではないか。
今、由美や幸子は幸せだと感じているのは、やはり、自分の思い込みなのかもしれない。
幸子には自分の好きなようにさせるのがいいのか、やはり医者にさせるか青田は迷い続けた。
素足で階段を上がる幸子を見た。左の足の小指の脇にまだ小さな傷が残っていた。
絵は心を癒してくれる。
医者は体も心も癒してくれる。
画家では体の傷は直せないのだから、やはり幸子には医者の道を歩かしたいと思った。
作品名: 作家名:吉葉ひろし