傷
青田は人生の不思議さを感じた。
北野が美人でなければ、青田の心は動かなかったかもしえない。青田に金がなければもちろんであった。
青田は明日を待つことにした。
翌日ホテルに現れた北野は、昨晩の北野ではなかった。
スーツ姿で顔も厳しい表情であった。
青田は北野の心を解そうと
「恋人の件承知しました」
と言った。
「商談成立したらお会いしますわ」
青田は北野の車に乗り込んだ。
流石にベンツである、室内は静かである。
「恋人でいられたのは10分でしたか」
駅に着いた。
手を握る事もなく北野と青田は別れた。
北野が買ってくれた駅弁に携帯の番号が記されていた。