傷
進路指導部長の家はアパートであった。貼り紙は諦めてポストに入れた。
本当はそれぞれに郵送するつもりであった。しかし、学校側の態度に不満を感じ、公に曝そうと考えたのだ。
ポストに入れたのでは郵送と同じなのだ。
次の学年主任の家にはポストで無く張り紙にと決めた。
青田の調べでは、家庭教師をしている。本来ならアルバイトは禁止である。正すことも出来る。
しかし、新築である。やはり、ポストに入れた。
青田はつい半月前のことを思い出していた。
幸子が推薦を貰えるようにと、担任、学年主任、進路指導部長と自宅にまで挨拶に出向いた。そして、帰り際に5万円の商品券の入った封筒を渡した。
そのうち、担任と進路指導部長からは返されてきた。
頼りになったのは受け取ってくれた学年主任だけの様に感じた。