傷
青田は自分の気持ちを伝えるのが必死であった。
幸子の指の事がそうさせているのだとは言えない苦しみがあった。
「それで、あんな勝手な手紙をポストに入れたのですか」
水沢は少し青田を軽蔑したように言った。
青田は水沢の態度に腹が立った。
「そう言う事でしたら仕方ありません。P.T.A会費や進路指導費について決算に疑問がありますから、今度の総会で質問させて頂きましょう」
「青田さんそんな事をされては困る」
水沢は困った顔をした。
水沢自身がおかしいとは感じていた事なのである。
夏休みの課外手当や飲食費など内部告発されれば、水沢自身の責任問題になりかねないのだ。
「2,3日考えさせて下さい」
水沢校長は青田にそう答えた。