傷
高校は進学校である。
高校2年の夏休みには、アメリカにホームステイをさせた。
そのことで幸子の英語力は力がついた。
青田は幸子を医者にしたいと思い始めた。
幸子の人生を大きく変えてくれたのは、医師の力であったと確信していたからである。
だが幸子本人は絵の勉強がしたくて、美大を希望しているのである。
「お父さん私の人生なんだから、進路は自分に決めさせてよ」
「幸子は医者になるんだ」
「血を見るのも嫌なのよ,成れないわ」
「困っている人を助ける、いい仕事だよ」
「絵が好きなの、画家になるわ」
「お爺さんの話を覚えているだろう、苦労するよ」
「だからお爺さんの意思を継ぐわ」
「駄目だ、駄目、駄目だ」