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ゴーストガイド 第一話

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放課後、ミカラ地区に僕も来ていた。
「なんで僕まで」
「阿呆。わしはこの場所知らんのじゃぞ」
「じゃあ、ミカラ地区来たので帰っていいですね」
「待たん…っ!!!」
うおおおおおおおお
怪物の咆哮のような音が響き渡った。
と、同時に少年は駆けて行った。
「ちょまっ!!」
(これは久々にやばいやつかもしれん)

「お前、ボロ屋敷の場所しらねーだろ」
「声のした方向からだいたい分かるわっ!」
「ここまで来るのに何回違う方向行こうとした!!そんな奴、放っておけるか!」
「この相手は相当危ないから帰れ!足手まといじゃ!」
「手伝えって言っといてそれはないんじゃないの!?」
走りながらそんなやり取りをしているうちに昼休みに三人が言っていたボロ屋敷についた。
今にも崩れそうな塀、錆だらけの門扉、荒れた庭、奥には窓ガラスが割れ、蔦だらけの洋館が見える。
その庭に犬の化け物のようなのがいた。
大きさはゆうに家くらいあり木々の中にいても分かる。
しかも、毛はなく肌はうすら白い気味の悪いもので、恐ろしいほど鋭い牙と爪を持っていた。
まさに身の毛もよだつ怪物だった。

「…。帰っていいですか?」
「逃げろ!!!!」
僕らは全速力で走った。
「なななななな、何あれ!!」
「分からん!」
「あんた退治してるって!」
「あんな犬みたいな見かけで二足歩行して追っかけてくるなんて奴は初めてじゃ!」
振り返ると犬の化け物が追いかけてきていた。
「じゃあ、ただの犬の悪霊じゃないってこと!?」
「たぶんな!じゃが、詳しくは分からん」
「肝心なとこは全部分からないじゃないかっ!」
「うるさいわっ!詳しく調べてもない物事なんぞ分かるわけなかろう!」
犬の化け物は僕らとほぼ同じ速さだった。
一定の距離を置いて追いかけてくる。
「このままじゃいつか追いつかれるよ!!」
「情けない奴じゃ。自分でついて来ておいて」
「なんとかしてよ」
「ああ、もう煩いの。今、攻撃するからだまっとれ。昇天回帰!!」
と、叫ぶと少年は何やらサッカーボールくらいの光弾を掌から打ち出し、左肩に命中した。
そこから気持ち悪い顔のようなへんなものがうぞうぞと沸いて、そのうちいくつかが抜けて行った。
化け物は少し苦しそうな声に鳴いた。
「効いたの?何か出て行ったけど」
「出て行ったのは人の魂じゃな。おそらく、あの図体のでかさは相当な数の人間を喰っているせいじゃろう」
「でも、なんで犬の格好なの?」
「核が犬なんじゃろ。どういう仕組みでそうなっとるかは分からんが」
少年は再び半身を後ろに向けると光弾を幾つも打ち出した。
「犬の分際で大層喰ったようじゃな!!」
全弾命中し、犬は大きく仰け反った。
ぐ、おぉ…
と悶えながら。

「やった!」
「まだじゃ!」
少年は光の輪を作り出し、犬へとはめ込んだ。
そうして相手の動きを封じると、念じて巨大な光弾を作り出した。
「うおおおおおっ!」
そして、少年は拳にその光弾を宿し、
「らああっ!!」
化け物の腹部にぶち込んだ。
ドゴオオ
という音を響かせて化け物は5、6メートルほどすっ飛んだ。
「はぁ、はぁ、どうじゃ」
倒れた巨体のあちこちから気味の悪い顔のようなものが浮かびあがり、次々と抜け出していった。
「倒したの?」
「まぁな」
「しかし、浄化で力を使い果たしてしもうた。一体どれだけの生きた人間が被害にあったのか…」
立ち上る魂で淡い光の柱ができるほどであった。
百や二百の話じゃないように思えて、寒気が走った。
「普通、こんなに喰うもんなの?」
「…。いや」
巨体を誇った犬はみるみる小さくなった。
「じゃあ、どうして」
「分からん」
でも、普通の犬くらいの大きさになったとき、それは止まった。
「っ!?」
そして、むくっと起き上がりヴーッと威嚇している。
「あの、残ってますけど」
「まずいな。もう力が残っておらんのじゃが」
「言ってる場合ですか!!」
「仕方ない。最終手段じゃ」
犬はけたたましい鳴き声を上げ襲いかかってきた。
「お前の体。貸して貰うぞ」
「はっ!?え!!?」
その言葉の意味を理解する前に、少年は僕の体に入り込んだ。
「うおわ!」
『喚くな』
「あ、頭の中から声がする…」
(お前には高い霊視能力があった。じゃから、あるはずじゃ)
最初に胸の辺りが光り、
(それに応じた高い霊能力が。)
次いでそれは全身から発せられた。
「何これ!?」
『とりあえずあれを殴れ!!』
犬が跳びかかってきていた。
「こうなったらやけくそだああああああああ!!!!!!」
僕は目の前の敵に拳を振るった。
シュバッ
拳から発せられた光で犬は消滅した。

作品名:ゴーストガイド 第一話 作家名:にっち