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ゴーストガイド 第一話

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「はぁ〜今日は朝から酷い目にあったな…」
教室ぬ向かって一人歩きながら呟いた。
「どうしたの。朝からテンション低いね」
振り向くと朝ノ木さんが立っていた。
正直、このクラスで一番可愛いと思う女の子だ。
「おはよう、日宮くん」
とニッコリ笑って挨拶してくれた。
「お、おはよう」
もちろん、これは僕だけでなくみんなに対して行われる。
だから、男子にはちょっとした女神扱いだ。
「さ、早くはいりましょ」
僕は言われるまま、教室に入った。
入って、僕は固まった。

僕の机の上に、今朝の加茂という少年が悠然と浮いていたからだ。
「お。待っておったぞ。日宮静」
教室に先回りされていたということは事前に調べられていたということだ。
ちょっと寒気がした。


一時間目が終わってすぐ、僕はトイレに駆け込んだ。
朝のホームルームの間だけでなく授業中も散々っぱら喋りかけられたからだ。
せめて、休み時間にしてくれとノートに書いて伝えて今に至る。
「ったく。こんな場所に」
「で、頼みって何なの」
「…。まぁ良いか。わしは各地を周って悪い霊を退治しておってな」
「で」
「その一環でこの町に来たんじゃが、如何せん大きな町で悪い霊を探すのも一苦労なんじゃ」
「で」
「お前、本当に人の話を聞く気あるのか」
「だって、そこまで聞いたし」
少年の霊は口をへの字に曲げたがそのまま続けた。
「じゃから、霊の見える人間に案内人を頼もうと思うてな」
「それを僕に?」
「そうじゃ。お前は霊視能力が非常に高い。これ以上ない適役じゃ」
「でも、それ以外何も。霊の声も普通は聞こえないし喋れないし」
「構わん。霊より霊が見えるんだ。索敵にはそれだけで十分だ。生きてる人間から情報も聞けるしの」
霊より霊が見える?そんなバカな。


二時間目は気が気でなかった。
始まる直前に朝ノ木さんに体調の心配されたけど、そんな普段なら嬉しいことも嬉しくなかった。

霊より霊が見える。

全くもって想像しなかったことだ。
見える度合いに差があることも初めて知った。
今までの価値観が完全に崩壊した。
(動転してるようじゃな。しかし、遅かれ早かれ訪れることじゃ)

「そんなバカなっ!?」
「信じられんのはこっちも同じじゃ。しかし、下調べの結果、そう確認した。間違いない」
「ということは、他の人はそうじゃないと」
「見える度合いは人によって違うもんじゃ」
「そうだったのか…だからテレビに出てる霊能力者には見えないのもいたんだ」
(テレビに出てる奴が本当に見えるかどうかはまた別の話じゃが、面倒くさいからそのままにしておくか)
「で、やるのかやらんのか、どっちじゃ」
「分かんない」
「まぁ、これ以上煩く言わん。しばらく考えるんじゃな」

「日宮。…。ひのみやっ!」
「は、はい!」
「聞いとるのか!続きからだ」
「え、えーと…」
「43ページの4行目からじゃ」
後ろから少年が教えてくれたおかげで、難を逃れた。
作品名:ゴーストガイド 第一話 作家名:にっち