小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ゴーストガイド 第一話

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

「で、一体何なの?」
僕は不覚にも振り返ってしまったので、なるべく無愛想に接することにした。
「幽霊じゃ」
「いや、そういうことじゃなくて」
「では、何が聞きたいんじゃ」
「なんで、肉体掴めんの?」
「掴んだのは肉体じゃないぞ。魂じゃ」
「魂っ!!?」
普通の人間には僕一人しか見えない。それはあまりに大きな独り言だった。
「お前は阿呆か。いきなり大声出しおって」
「驚かしたのはお前だろっ」
「なんじゃ、魂を掴むくらい。珍しいことでもなかろう」
「いや、そんな経験一度もないけど」
そう言うと少年の霊はじっと見てきた。
「本当か?」
「ああ」
「ふむ。この町は大きい割に強い霊はおらんのかのう。お前みたいなのがその年まで…」
「というか、あんた。一体何?」
「そう言えば自己紹介がまだじゃったな。わしは加茂という。
 各地をまわって危険かつ強力な霊を浄化しとる」
「各地をまわって?」
「そうじゃ。一つの町に強い霊というのはそれほど多くおらんからの。
 一通り浄化したら、次の町に移動する。それを繰り返しとる。
 そこで、お前に頼みたいことがあるんじゃが」
「断る」
僕は即答した。
「まだ、何も言っとらんが」
「断る」
はぁ〜っとその霊はため息をついた。
「仕方ないの。無理強いは好きじゃないしの」
ほっ
(諦めてくれるみたいだ)
「じゃ」
しかし、彼はついてきた。
「…」
僕は足を速めた。
でも、彼はピッタリと後をついてきた。
「なんでついてくんの」
「お前がウンと言うまでついてくぞ」
「っ!?!」
僕は足を止め、息を整えた。
「お。話を聞くのか?」
その言葉を無視して僕は全力で駆けだした。
「あっ。待たんか」
走って走って学校に駆け込んだ。
まだ、遅刻するような時間でもないのに。
寝坊した時よりも早く。
下駄箱についたとき、もうその少年の霊は後ろにいなかった。
(よし)
と小さくガッツポーズをした。

作品名:ゴーストガイド 第一話 作家名:にっち