蝶
その開店に西山由美の個展を考えていた。
透明感のある色使いは流行りもあって売れだしていた。
まだ1号5万円の評価であるが、宏の店で個展を開くことで、確実に評価は上がるはずである。
気にはかけていたのに何もしてやれなかった。その償いの気持ちであった。
打ち合わせで由美が銀座の店に来てくれた。
30半ばを過ぎたというのに若い。幸子や真理恵より若いとは言え華やかさもあった。
「宜しくね」
「有名にしてあげるよ」
「それよりまだ結婚しないなんて・・」
「誓いを立てたんですから」
「世の男は見る目がないな」
「1人の方が都合のいい時があるのよ」
「束縛はされないからな」