蝶
由美の個展
愛は10歳になった。
幸子、真理恵とも宏は上手くやっていた。
大きな変化と言えば、宏が独立したことである。
キャッチセールスは学生の何人かが独立して、かなり際どいやり方をしたため、マルチ商法に見られて評判を落とした。
社長は嫌気がさし閉店を決めた。
宏は幸子の仕事の関係も考えて。その店を買い取ることにした。1000万円の資金のうち700万円は真理恵の父親が出してくれた。
宏はデパートや会館を借り展示会を開いた。
広告費がかさむが集客は見込めた。
バブルが生まれ始めたころである。
株や土地やマンションが高騰始めた。
高額の絵画も利殖目当てで売れ始めた。
宏はその波に乗った。
3千万円で買ったマンションは2年で6千万円になった。
金の魔力であるのかも知れない。
家族の誰もが幸せそうであった。
宏は画廊の名を愛と改めて、銀座に出店した。