蝶
「画商さん」
前から席にいるホステスが私のおなじみと言わんばかりに答えた。宏がタバコを口に咥えると、あかりが火をつけた。
2,3回吸うと
「踊ろう」
と宏はあかりを誘った。
背の高さが知りたかった。幸子は肩までだった。
あかりは耳まであった。ハイヒールのせいかとも思った。
あかりはシャンプーの匂いがした。
前からいるホステスとは格段の違いを感じた。
踊り終わって、席に着くと、宏はあかりに1万円のチップを胸に挟んだ。もう一人のホステスにも1万円手渡しした。
幸子かどうか解らないまま店を出た。